金沢の新しいアート&クラフトを楽しめる街へ。金沢竪町商店街の挑戦


金沢の中心地にある金沢竪町商店街は、街の復興を図るべく、新しいコンセプトと共に再出発しました。そのコンセプトとは「竪町発のモダンなアート&クラフトを楽しめる商店街」。かつて「北陸最大級のファッションストリート」と呼ばれていた金沢竪町商店街は、なぜこのようなリブランディングすることになったのか? 今回は、金沢竪町商店街の理事メンバーに、この新しいコンセプトに込められた想い、そして竪町の未来について語っていただきました。
 
今日のゲスト:
西田倫明:金沢竪町商店街の理事長
竪町にあるスポーツ用品店「西田スポーツ」のオーナー

日谷潤:金沢竪町商店街の販促委員長
竪町をはじめ、金沢に複数のアパレル小売店舗を展開するオーナー

細川博史:金沢竪町商店街の販促副委員長
竪町にある宿泊施設「KANAME INN TATEMACHI」と飲食店「KANAZAWA MUSIC BAR」のオーナー

なぜ商店街をリブランディングすることになったのでしょうか? 


西田さん: 
金沢竪町商店街は、かつて「金沢の原宿」とも呼ばれ、ファッションで栄えた街でした。ところが、ネット通販が台頭して、リアル店舗の小売・物販の苦戦が続き、もともと竪町だけに集まっていたお客様が、だいぶ分散したということが、大きな課題としてありました。それに加え、郊外の大型ショッピングモールの出店、北陸新幹線開通に伴って、商圏が金沢の駅前に移動するなど、様々な環境変化によって、お客様の足が遠のいてしまっているのが、いまの実情です。


従来通りのやり方だけでは難しい局面がでてきました。そして、様々な業種業態で構成される金沢竪町商店街では、意見を一つにまとめることが、なかなか困難です。そのため今後、街をどのように成長させていくかについて、一度立ち止まって議論する場を持とうと、2019年に「街のリブランディング会議」を実施しました。

「街のリブランディング会議」って実際どんなことをしたのですか?

西田さん:
まずは、ほぼすべての組合員様にアンケートを取り、それを基にヒアリング会を実施し、課題の洗い出しを行いました。その後、参加可能な組合員さん30名近くに集まっていただき、ワークショップを開催しました。

4つのグループに分かれて、各グループで「金沢竪町商店街の現状の強みや弱み」、「商店街を取り巻く環境 」、「商店街にきてくださった方々にどんな気分になってもらい、どんな商店街だと言われたいか?」、「他にはない金沢竪町商店街の財産はどんなものか?」など、とことん話し合いました。



ワークショップを実施してみて、いかがでしたか?


日谷さん:
つくりあげていく過程って大事だなと感じました。トップダウンでいろいろ進めていくのではなくて、一人一人が考えながら前に進めていく。共感をもって先に進めていくには、大事なプロセスになったと思います。


細川さん:
ワークショップと同時に、金沢市内在住の方や、国内外の旅行者の方々、様々な属性の方へのヒアリングも行い、「金沢竪町商店街がどのように見られているのか?」なども含めて調査しました。そのときに、かつて竪町がファッションストリートと呼ばれていたことすら知らない世代がいるという事実もあって・・・組合員が目指したいところと、市場ニーズとの乖離がものすごくあったということを知れたのも、一つ大きな変化を促すきっかけになったと思います。


竪町商店街が掲げる「モダンなアート&クラフト」って、どんなイメージですか?


細川さん:
金沢の伝統工芸の持つイメージとは全く違い、例えば金沢の食材に惚れ込んで移住してきたシェフが営むレストランや、クラフトビールスタンド、海外のアンティーク小物や現代アートを扱うギャラリー、新しいアーティストやクラフトマンの情報などを発信する街というイメージです。

竪町には、昔から脈々と受け継がれている、金沢のクラフトマンシップやクリエイティブスピリッツ、そして金沢21世紀美術館がすぐ近くにあることから、現代アートという素晴らしい資産があります。これらの資産を活かして、竪町にしかない、新しいアート&クラフトを発信していきたいです。


それは、これまでのファッションストリートのイメージとどう異なりますか? 


日谷さん:
大きくは変わりませんが、時代と共にファッションという言葉の意味は少し変わってきているところがありよすよね。洋服という捉え方だけではなく、人それぞれの生活様式やカルチャー、そういうことを集約した言葉に変化してきているところがあります。

ファッションは、モノを売るだけではなく、サステナビリティという考え方など、思想や概念を消費者と共有しながら変わってきています。そんな時代背景を踏まえ、既存の組合員の方々と協力しながら、どのように街に賑わいを創り、テナント誘致していくかを考えることは非常に重要だと考えています。
 

西田さん:
ファッションとアート&クラフトって親和性が高いと思うんですよね。今までのお客さんも、新しいお客さんも両方楽しんでもらえるのが、この新しいコンセプトなのかなと思いますね。


このコンセプトを体現している新しい取り組みは出てきていますか? 

細川さん:
最近、「KAMU black black」というスポットが竪町にできました。ここの館長の林田くんは、「KAMU kanazawa」という現代アートを展示する私設美術館を運営しているのですが、金沢市内に10箇所の施設を点在させることで、アートの力で人を街中へ回遊させたいと考えています。その一つが金沢竪町商店街の中にオープンしました。展示されているオーディオビジュアルアーティスト黒川良一さんの作品がとにかく素晴らしくて、初見の時は言葉を失うぐらい引き込まれました。まさに、新しい商店街のコンセプトが体現されている好例だと思います。

 KAMU black  blackについて、詳しく知りたい方は、「KAMU kanazawa」館長の林田堅太郎さんのインタビューをぜひご覧ください。

KAMUのドキュメンタリー動画はこちらから。


最近開催された映画祭についても、教えてください!

細川さん:
「カナザワ映画祭」と「タテマチ屋上映画祭」がタッグを組んだオンライン映画上映会を11月に行いました。メインのコンテンツは、「カナザワ映画祭2019期待の新人監督」でグランプリを受賞した葉名恒星監督の「きみは愛せ」。

この映画は、昨年グランプリを受賞した新人監督に向けて、金沢竪町商店街が次回作の支援金を支援するスカラシップ制度から生まれた作品です。商店街の美容室やバーを中心に、金沢市内のいたるところで映画の撮影が行われました。
 
いろんな人が新たな文脈の中で、竪町を訪れてくれることを期待しています。


竪町商店街は今後どういったことに注力していく予定ですか?


日谷さん:
平日や週末問わず、竪町の賑わい創出がまず一番にあります。ここにつながるような、テナントさんをしっかり誘致していくことに注力していくことが大事ですね。そして様々な販促施策を実施する予算の源泉である、タテマチパーキングをもっと使ってもらうようにしていきたいと思います。

西田さん:
商店街は何のためにあるのか?ということを考えたときに、もちろん物の売り買いは、大前提としてあるんですけど、そこから派生する「人と人のつながり」が一番大事な要素だと思います。

アート&クラフトというコンセプトも、そこに触れた人々の人生を豊かにすることによって、結果的に人と人をつないでいくことが肝になっていると感じます。そこを、より体現化できるような活動を行っていきたいですね。




金沢竪町商店街の新しい取り組みを聞いていると、いままでにない金沢の見所が発見できるようでワクワクしてきました。
皆さんもぜひ金沢竪町商店街に遊びにきてください!


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